第62回日本脳神経外科学会総会 

(演目)低髄液圧症候群

演題名: 低髄液圧症候群の診断における定量的RI脳槽シンチグラフィーの試み  (演題番号 624)
所属: 国立福山病院 脳神経外科
著者: 守山 英二  小川 智之  別宮 博一  石川 慎一                       
抄録本文: 【目的】低髄液圧症候群(Intracranial Hypotension: IH)は、主に脊髄レベルでの脳脊髄液の硬膜外漏出により、多彩な症状を呈する。RI脳槽シンチ(RIC)は髄液漏を描出する上で最も重要な検査であるが、解像度が不十分で、false negativeが問題となる。その欠点を補う目的で定量的解析を試みた。【方法】起立性頭痛などの頑固な症状でIHが疑われた患者49例(男26、女23例、平均37才)を対象とした。大多数が交通事故、スポーツなど何らかの外傷を契機に発症していた。25Gペンシルポイント腰椎穿刺針を用いて、111In-DTPAを注入し2.5、6、24時間後に全身脳脊髄腔の撮影を行った。【結果】23例で腰仙椎を中心にRIの漏出像がみられ、膀胱の早期描出、クモ膜下腔からのRI早期消失を伴っていた。撮影時のγ線カウント数をY軸、時間をX軸にプロットすると、非漏出例26例では完全に指数関数に一致し、若年者ほど減衰が早かった。(半減期:13.8±4.2時間、平均±SD)。一方、漏出例では6時間までの減衰が早く二相性のグラフとなった。半減期:4.3±3.2時間(1.5?6時間)、10.1±4.2時間(6?24時間)。4例で治療後のRICを行い、漏出の消失と完全に指数関数に一致するRIの減衰を確認した。【結論】二相性のRI減衰曲線はIH患者に特異的であり、診断に有用と考えられた。一相性の減衰曲線でも半減期が短い場合には、RICの検出能以下の髄液漏が隠れている可能性があり、今後の検討が必要である。
キーワード: intracranial hypotension   cisternography   radioisotope
セッション名: 一般演題ポスター「脊髄血管障害・その他」
   

演題名: 交通外傷後の低髄液圧症候群(髄液減少症)  (演題番号 1138)
所属: 平塚共済病院 脳神経外科
著者: 篠永 正道  市川 輝夫  橋本 端基                         
抄録本文: "【はじめに】 交通事故による頚椎捻挫や軽微な頭部外傷後長期に亘り頭痛、頚部痛、背部痛、めまい、吐き気、手足のしびれ、倦怠、記銘力低下など多彩な症状に苦しんでいる患者が多数みられる。これらの症状は精神的ないし事故の補償にからむ問題が原因とみなされてきたが、私たちは慢性的髄液漏出による髄液減少が原因であると考えており今回多くの症例につき臨床的検討行なった。【対象と方法】交通事故後6ヶ月以上経過し多彩な不定愁訴を訴え、症状、画像診断から低髄液圧症候群と診断した159例を対象とした。男性58例、女性101例。画像診断としてはRI脳槽・脊髄髄液腔シンチ、Gd造影脳MRI,MRミエロを行なった。治療は全例でブラッドパッチ(脊髄硬膜外自家血注入)を行なった。【結果】 RI検査は64例に行い早期膀胱内RI集積は58例で内40例は腰椎部での漏出を認めた。髄液圧は40例中10cm水柱以下は5例にすぎなかった。MRI所見は頭蓋内静脈拡張98例、硬膜下腔拡大83例、硬膜造影効果陽性68例、小脳扁桃下垂60例であった。ブラッドパッチの効果は著明改善26例、改善67例、一部の症状改善28例、不変7例、経過観察中27例であった。【結論】交通事故による頚椎捻挫後遺症、頭部外傷後遺症の一部は髄液減少が原因である。診断は造影MRIとRI脳槽シンチが有用である。治療はブラッドパッチが効果的で有効率は7割を超す。"
キーワード: traffic accident   intracranial hypotension   blood patch
セッション名: 一般演題ポスター「頭部外傷(5)」
   

演題名: 特発性低髄液圧症候群についての検討  (演題番号 1318)
所属: 荒尾市民病院 脳神経外科
著者: 不破 功  佐藤 公則  大久保 勝美                         
抄録本文: 【目的】特発性低髄液圧症候群は、立位あるいは坐位で増悪する頭痛を主な徴候する症候群であり、脳槽シンチグラフィで脊髄根周囲からの髄液漏が見い出されることが多い。我々は特発性低髄液圧症候群の3症例を経験したので報告する。【成績】年齢は56歳、66歳、40歳、男性1、女性2症例であった。いずれも立位での頭痛悪化を主訴としており、2症例では数年の頑固な頭痛を経験しており、いずれも腰椎椎間板ヘルニアの既往歴があった。また、この2症例では頑固な頭痛の原因が不明で、精神科にも紹介されている。頭部の造影MRIでは1例で硬膜の造影増強がみられたが、他の2症例では正常範囲であった。1症例で慢性硬膜下血腫を合併していた。脳槽シンチグラフィでの髄液漏出部位は、胸椎部1例、腰椎部2例であり、1例で多発性の漏出が認められた。治療は、いずれも自己血の硬膜外注入を実施し、頭痛は劇的に軽減した。【結論】特発性低髄液圧症候群の確定診断には頭部造影MRIでは不十分であり、脳槽シンチグラフィが必須である。漏出部位が確定されれば自己血硬膜外注入が安全かつ有用な治療法である。本疾患は、未だ医師の間においても十分な認識がなされているとは言い難く、今後は実地医家への啓蒙が必要である。
キーワード: headache   intracranial   hypotension
セッション名: 一般演題ポスター「二分脊椎 他」