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協会としての多事総論

低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)もようやく、社会全般に認識されるようになってきました。
この嬉しい事実に対し、今後の更なる認識・普及のために、協会として多岐わたる事項に対し、
思いのままに、且つ見解を含ませながら有意義な情報の発信をして行くための掲示板としたいと
思います。


  I am the 脳脊髄液減少症患者
Date: 2008-01-21 (Mon)
I am the 脳脊髄液減少症患者

私は、「脳脊髄液減少症」の最初の治療をしてから8年が経とうとしている。2008年1月17日は、途中寄り道をしたが、一般道路をとおり、往復7時間かけて、和歌山から奈良県庁に行った。

昨年10月から12月にかけて、全国16箇所で、精力的に患者交流会を実施した。恥ずかしい話だが、交通費削減の為、可能な限り高速バスを利用したので、かなりタイトなスケジュールになってしまった。エピソードは数え切れないほどある。その中で、少し紹介を。
協会設立当初からの方が参加されていた。元気に仕事をされているようで、その姿に励まされた。また、国体に出場するというスゴイ方。寝たきりから、20数年ぶりに歩くことができるようになった方も。良くなられた方が多く、うれしかった。

このコラムの題に「the」を付けたのは、治療8年を過ぎ完全に元気ではないにしても、以前からは考えられない元気さで飛び回っている自分を強調したかったからだ。

反対派の医師が公然とうたっている。「ブラッドパッチ療法をして後々数年後にとんでもない後遺症に苦しむことになる」と。治療もせず、推測で論文を発表している。確かに一部癒着その他で後遺症が出ている方も知っている。しかし、交流会に来られた患者さんは、良くなった方が圧倒的に多かった。

署名の爆発的な進み具合を見れば、この問題は、シンプルでわかりやすい。
「脳脊髄液減少症」否定派医師は、裁判の場で古い文献をたくみ寄せ集め作成した論文を元に否定的な意見を述べてきます、しかも治療経験ゼロでも、ただただ反対する。誰のため? 何のため?
メディアでは、多くの方が体験を赤裸々に語っている。それも事故の後からだと。学校現場でも同じことがおこっている。しかし、裁判になると、いつも同じ医師が必ず出てきて、反対意見を述べる。意見書を提出する。「この画像は、もともと漏れていたものである。事故とは関係が無い。治療をしてよくなったのは精神的な効果、プラセボ効果である」。
患者さんや関係者が怒るのは当然である。治療後に、寝たきりからアルバイトができるようになった。サッカーができるようになった。治療を受け、完治した方もいる。これらをすべて精神的な効果で片付けられるのか?

早急に研究を開始し、病態自体の解明に動き、早期の保険適用を望む。これには、研究者の一部入れ替えも必要になるかもしれない。そのための署名。残りわずか。

奈良に行ったからというわけではないが、「鹿男あをによし」というドラマがフジTV系列で始まった。
私は「I am the 脳脊髄液減少症患者」。
署名提出時にも、「I am the 脳脊髄液減少症患者」、治療して元気になりました。
私は気のせいで良くなったのではないと、胸を張って言おう。

  会員交流会 途中報告 【NO.1】
Date: 2007-12-01 (Sat)
西は広島県から東は北海道まで、全国各地で11回の協会員交流会を実施させていただきました。

皆さんの暖かいご支援を受けながら開催させていただいております。

また、後半の交流会は、大阪(神戸)や仙台、大分などを予定しております。


さて、いずれの交流会においても、

「治療を行い良くなっている方が多いなぁ〜 」。

また「不条理な理由や自己都合的な論理で、脳脊髄液減少症の存在を潰そうとしたり反対したりする医師に対し、皆さんは憤りを強く持ち、その感情は『激怒』という表現がぴったりとあてはまる」

という2点は、共通して強く感慨した次第であります。

現状の各分野での言動や動向に対する皆さんの叫びは「ひどい ひどすぎる!!」「ゆるせない」に尽きます。


各地での具体的な話をします。

署名運動は、すごい勢いで進んでいました。

・交流会当日、700名分の署名用紙を持ってきて下さった御婦人。
・2人の若い女性(私は、ジャンヌダルクと呼んでいるのですが・・・)を中心に、御婦人4名で街頭署名を実施し、わずか1時間で300名を集めた所。

その言動と大きな反響は、疲労感一杯でいる私に多大な勇気と元気を与えてくれました。

いずれの地でも御婦人のパワーが本病態の啓蒙活動を牽引して下さっていることに対し、本当にありがたく感謝の気持ちで一杯になりました。


話は変わりますが、かのナイチンゲールの格言にこうあります。

「健康とは何か? 健康とは良い状態をさすのではなく、我々が持てる力を充分に活用できている状態をさす」と・・・まさしく活動して下さっている皆様でした。

ふと、交流会の帰りの空き時間に考えてみました。

もし、この「脳脊髄液減少症」が普及していなかったら、どうなっていただろう。

今回の交流会に参加していただいた方の中には20年近くも、どこの病院でも原因不明を言われ、精神的な病であると断定された方もいました。

しかし、精神的な症状が本病態によるものとの診断が付き、治療後、寝たきり状態から歩けるようにまでなったそうです。

ある交流会で「自殺の原因の多くは、この病が絡んでいると思います」と、ふと漏らされた方もいました。一考させられる言葉であります。

交流会参加者の中には完治された方も数名おられました。

なにはともあれ、どんな状況であっても笑顔をわすれず、周りを明るくする才分が女性にはあります。

女性の力がこの活動を支える最も大きな推進力となっています。

ありがたいことです。

女性のことばかりを書いてしまいましたが、もちろん男性も運動を懸命に支えて下さっています。人知れず、黙々と頑張っておられる方が大勢いることも我々は知っています。


今回の交流会で1番うれしかったことは、多くの皆さんが、事実として本病態の治療を受け良くなっていらっしゃることです。

患者交流会での内容を思い返すたび、机上の論議だけで、「脳脊髄液減少症」を結論付けしていいのか?という疑問がふつふつと沸いてきます。

我々は、治療の現場に足を運び、患者さんと対話すべきだと思います。現場を見ず、患者さんの声にも耳を傾けないで本当に研究が成り立つのでしょうか?

今、ウェイトを置く必要があるのは医療です。

単なる医学ではないと考えます。

医学も大事であることは間違いありません。

しかして、医療は「現場」であると思います。

患者さんの疾病を治すのは現場の医師の医療であることを決して忘れてはならないと思います。

何のための研究なのか? どこに目線が行っているのか?

医師としての元来の目的や社会的責任を忘れないためには、目線を常に患者さん側に置くことではないか!

と痛感する昨今であります。

     
     文責:NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」


  現状報告 コラム 1弾
Date: 2007-11-24 (Sat)
【はじめに】

『報道ステーション・すごいね〜みたよ』『大変ね、なんとかならないの〜』などと多くの声が協会によせられています。
放送は全国的にすごい反響のようです。

また全国署名の運動も加速度的に勢いを増してきております。

全国の皆さんが関心を持ち、自発的に参加される方が多くなっています。頭が下がります。
ありがとうございます。

11月15日水曜日、報道ステーションにて約1年ぶりに「脳脊髄液減少症」の報道がありました。

我々には、昨年2006年10月23日の放送が、まざまざと脳裏によみがえってきました。

メインキャスターの古舘伊知郎さん、レポーターの長野智子さんのやりとりがとても印象的でしたので、はっきりと内容を覚えております。

そのやりとりは、こうでした。

レポーターの長野さん:『患者さんはとにかく早く病気として保険適用を認めてほしいという強い思いでいる。
しかし厚生労働省としては学会の様子をみている段階です。
学会はというと診断基準がまとまっていない。
どの医師でも一定の判断が作らなければならないということで、ようやくそれに向かって動き出したという段階です。
また、それに一年間の時間を要し、保険適用の申請はそれからということです』

古舘アナ:『そうですか、今苦しみ、ピークをむかえていらっしゃる方の一年というのは想像に絶するほどである』
 
長野さん:『そうなのです。また診断できる病院が少ないというのも患者さんにとっては大きな問題です。ですから、私たちがいつこの病気になってもおかしくない病気であるため一日も早くガイドラインの作成をお願いします』

そして その1年があっという間に過ぎました。

しかし、未だ研究は始まっていません。

つまり、これから更に3年かかるということになります。
実際に研究に携わっている方からみたら、たかが1年かもしれません。

また、「研究を始めるにはそれくらいの準備期間がいるのだ」と言われるかもしれません。

けれども、古舘さんの言われるように、ピークを迎えている患者さんにとり、どんな1年であったかと思うと、長かったと言わざるを得ません。

「もう少し、もう少し」と、大きな期待を寄せておられる方、生活も病状もひっ迫した状況で「明日にでも全てを解決してほしい!」と切実な思いの渦中にある方など、多くの声を聞いています。これが現状です。


【厚生労働省研究班及びメンバーの動向】

さて、厚生労働省の資料によると、研究予定期間は平成19年4月1日から3年計画となっています。

主任研究者には、山形大学医学部 脳神経外科教授の嘉山先生が就任し、分担研究者として14名、研究協力者に3名が名を連ねています。

この分担研究者の中には、国際医療福祉大学熱海病院 脳神経外科教授 篠永正道先生と名古屋市立大学講師 西尾実先生もいらっしゃいます。

「脳脊髄液減少症」を事実上、治療されているのは、上記のお2人だけと言っても差し支えないのではないでしょうか。

他に、否定派(本病態の完全否定)である吉本医師(関東中央病院 脳神経外科部長)や毎日新聞の記事でもほぼ否定を唱えた、馬場医師(福井大学 整形外科教授)も参加されています。

また、脳脊髄液減少症研究グループに所属する、日本医科大学 脳神経外科助教授 喜多村孝幸先生も参加されています。

さらには、神経外傷学会に所属の医師の方々もいらっしゃいます。

神経外傷学会のオリジナルガイドラインは、「脳脊髄液減少症」と病態名がつけられた全く新しい概念の導入は皆無で、既存の病態である「低髄液圧症候群」のガイドラインとほぼ相違はないと、我々は考えます。

であるならば、神経外傷学会に所属の医師の方々の考えも「脳脊髄液減少症」の概念には否定的であると推察せざるを得ません。

残念ながら以上のような状況では、ほとんど未知の分野である新しい概念の「脳脊髄液減少症」の本質を捉えるのは厳しいかもしれません。


【全国署名の意義と背景について】

今回、前原海斗君の放送は衝撃的でありました。
と同時に不安もよぎりました。

篠永教授のRI検査画像の説明を見て、全国のどれだけの医師が「脳脊髄液減少症」の診断をされるのかとの悲壮感にも似た不安です。

厚生労働省研究班メンバーは、あの画像をどう診断するだろうか?とも考えました。

しかし、前原海斗君本人のインタビューは「脳脊髄液減少症」患者の心情を実によく表していました。

『どこの病院でも治してくれなかった、篠永先生はすごいな〜と思って』・・子供は素直です。

子供の症例も含め、数多くの患者さんを診療されている医師が、研究班に多く参加されないと、ガイドライン(診断基準)の行く末は厳しいものになる可能性が高いでしょう。

つまりこの病態の認知も解明も難しいものになるのでは、と素人考えながら、思ってしまいます。

そうなると子供も含め全ての患者さんの未来が心配です。

そこで、今回の全国署名は我々協会の役員も積極的に参加しています。

また、上記の現状も踏まえ、熟慮に熟慮を重ね、署名の要望項目を仕上げました。

ましてや、前述の吉本医師であれば、たぶん、前原君の事例について、画像診断で「漏れではない」と主張されるでしょう。

つまり「事故で漏れたのではない」という診断です。

このことは、吉本医師の著作論文等を通し、素人の我々でも推察しうることです。

前文と関連しますが、厚生労働省研究班のメンバー構成においては、やはり症例数の多い医師を国の研究班に多く所属させるべきだと考えます。

肯定派30%、否定派30%、残りをその他にすべきでしょう。
 
これが平等で、公平な勢力分布となり、正当な論議や研究が推進できるものと考えます。

現状は肯定派5%、反対派65%、その他30%といえるでしょう。


【国外の動向】

昨年の報道ステーションから1年が過ぎました。

この1年の間に、待ちに待った、欧米からの論文が3題、発表されました。

1題は、オーストリア・ドイツ・日本の共同論文。
1題は、アメリカから日本人の英文の論文。
そして1題は、あのメイヨークリニックのアメリカ人神経内科医による初めての論文。

であります。

メイヨークリニックのアメリカ人神経内科医の論文内容は、「鹿と衝突した交通事故例における比較的急性期の例」です。

RI検査は行わず、MRIで診断しブラッドパッチで完治との症例報告です。

交通事故で髄液が漏れることがありうると結論付けています。

メイヨークリニックといえば、脳脊髄液減少症のアメリカ、否、世界的権威のモクリー医師のおられる病院です。

今後、同じような発表が多く出てくるだろうといわれております。

よって厚生労働省研究班は国内外で、益々、注目をあびることになるのは必至でありましょう。


【おわりに】

いま、社会や人は、個人の生命より企業や団体に目線をあわせることが多くなっているのではないでしょうか。

企業のため、会社の利益のために、例えば賞味期限を改ざんする。

これが、以前から当たり前のように行われていたのと思うと、怒りがこみ上げてきます。

この異常な光景を見るに見かねた正義感の強い人たちが内部告発をしたのでしょう。「このままではいけない!」と。

その食料品関連業界よりハードルが高く、行政でさえ立ち入れない白い巨塔−それが、「医学界」です。

厚生労働省研究班(現時点では分担研究者、研究協力者計17名)に、「脳脊髄液減少症」患者の未来が委ねられていると、言っても過言ではありません。

とても責任が重い仕事となるでしょう。

何度も書きますが、公正な研究班の構成を望みます。

生命の尊厳と社会復帰をポリシーとする医師や行政であるなら、少なくとも前原海斗君の病態を通し、また世界の目を感じ、早急に公正な人選を行い、研究を早期に始めていただきたいものであります。

毎日新聞の記者から「海斗君は頭がすごく痛くてつらかった。養護学校に転向したり、友達とも遊べなかった。ブラッドパッチ治療の後は急に頭が痛くなくなって、元の学校に戻れた!」と伺いました。

高名な医師が研究班に名を連ねてくださっています。

「脳脊髄液減少症」という、分からないことが多い病態に深く切り込み、未解明な部分、更に細部に挑戦し、研究に取り組んでいただきたく思います。

いまが、大チャンスです。

グローバルで中長期の展望で、尚且つ患者さんの目線で、未知の病態への挑戦をしていただきたいのです。
 
今後、研究のための検査の費用は、自己負担の治療施設もあれば、保険でまかなえる所もあると聞いています。

すべて各都道府県の社会保険事務所次第という話です。

これは、おかしいと思うのです。

もはや政治判断の域になったのではないでしょうか?

そこで、全国の優秀な政治家にお願いします。

この矛盾に立ち向かってください。どうか庶民の目線に立ってください。

きっと、多くの患者が救われるでしょう。

そのような人物が、多数出現することを大いに期待し、結びとします。


文責 NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会


  コメント
Date: 2007-09-01 (Sat)
厚生労働省研究班が、来月にも研究を開始しようというこの時期、また、国(厚生労働省)や各損害保険会社、医学会等が脳脊髄液減少症問題について、ある種の、「対応に困惑している状態」であるとの感が日常の業務をとおし、ひしひしと伝わってくる昨今ですので、稚拙ではありますが、ここに協会文責としてコメントを発表させていただきます。

まず、前置きとして、先般協会が発行した「会報11号」での提言のように、当協会は、篠永教授を中心とする脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会が作成した「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」を支持することを明言しておきます。

先日、関西ローカルで「脳脊髄液減少症」についての放送がありました。患者さんが置かれている立場を概要的にうまく捉え、まとまっている内容だったと思います。しかし、少々放送について感じたことがあります。現在、脳脊髄液減少症における交通事故後の補償に関する裁判の争点は、鞭打ち等の外傷後に髄液が漏れるのか?どうか?そして、交通事故と髄液漏れとの因果関係の有無です。また、最も問題視されるのは、この「脳脊髄液減少症」という病態自体が存在するのか否か、というところだと考えます。TV放送中に、弁護士の方が、「各損害保険会社が大問題として」取り上げ、ハードルを高くしていると言っていました。事実、公立学校共済組合 関東中央病院 脳神経外科部長 吉本智信氏が、自動車保険ジャーナル発刊、日本損保協会発行で、本や冊子を出されています。そこでは、篠永Gの出した ガイドライン、特にRI検査について外傷後の漏れをほぼ完全に否定しています。

そこで、関西ローカルとはいえ、脳脊髄液減少症のことを取り上げる以上、否定する側の取材も必要であったのではないかと感じました。理由は、この現時点で「脳脊髄液減少症の診断に最も信憑性が高いといわれるRI検査」について、これからはどんな場合でも賛成派・否定派を問わず、利害関係や個人的感情等を排除し、純粋な医学的見地により大きく議論していかねばならない状況にきていると思います。なぜならば、厚生労働省研究班は主として「診断のガイドラインの基礎、その部分の研究をされようとしている」わけであるからです。

誤解の無い様に申し上げておきたいのは、我々は過去の3万件に及ぶ相談件数から、脳脊髄液減少症は完全に存在すると公言しております。その理由は「会報11号」をご覧いただければ、わかっていただけると思います。そして篠永Gの見解を全面的に支持します。しかし過去、ブラッドパッチにより回復はしたものの回数をかさね、後遺症が出ている方もいらっしゃいます。悪化された方もいらっしゃいます。我々は、そういう方々の意見に、常に耳を傾け連携をとっております。これからもとっていきます。なぜなら、これらの方々の臨床例が重要な意味を持つものであるとともに、真っ先に救済の必要があるからです。

今、我々が最も望む事は何なのか? 当協会が発足して一貫として訴えてきたこと。それは、「ブラッドパッチ療法は完全ではないがため、最終的には、この病態自体の解明と、より改善効果が高い治療法の発見・発明を望んでいる」ということです。このことは、会報2号(2003年6月発行)に明確に記載しています。そして今、脳脊髄液減少症を否定する医師の理論、考えをしっかり聞き、また、その逆も当然でありますが、双方が同じ土俵で討議する段階に入ったと思います。

私は、「脳脊髄液減少症公開討論」が必要だと考えます。賛成派・否定派それぞれの専門家の診療実績、臨床例などを互いに発表。患者さんの体験(改善した方、悪化した方)。患者団体も積極的に意見をのべる。損保協会、厚生労働省、国土交通省のオブザーバー参加。もちろん、脳脊髄液減少症に関心のある方は、オープン参加していただく。こういったシンポジウムが早急に必要となってきたと感じます。やはり詳しくは「会報11号」をご覧ください。

脳脊髄液減少症は間違いなく存在すると確信があります。しかし未解明の部分が多いのも事実です。いずれ研究段階で、事故で髄液が漏れること。またブラッドパッチ治療や生理食塩水パッチが効果を持つことが判明するでしょう。損害保険会社の脳脊髄液減少症患者への対応も再考せざるを得ないかもしれません。しかし、判明するまで、患者さんの対応をどのようにするのか? 損害保険会社も脳脊髄液減少症に反対する医師のコメントばかり載せるのではなく、柔軟な対応を必要とする時期にきているかもしれません。CRS(企業の社会的責任)として10年後、100年後の長期的単位での対応策を一考していただきたく考えます。当然、国や行政も患者さんの救済には、最優先で手を打つ必要があります。経済的にも追い詰められて、苦しい症状を抱えながら、路頭に迷う患者さんが多数いる実態を知っていただき早急に具体策を立ち上げていく責任があるはずです。

今後、脳脊髄液減少症に関連・関与する諸問題は益々、拡大し続け、更に大きな社会問題として増殖していくことでしょう。このような意味においても厚生労働省研究班の責任は重大であると共に、諸問題解決のための最大の灯台になり得ることと多大なる期待もあるのです。

最後に、「会報11号」の「提言」は当協会が積んできた経験と各分野の現状の情報を収集・分析し、熟慮を重ねて出した結論であり大変重要だと自負しております。
なお、当協会の見解や意見は、未発表の部分が多いので今後、逐次、HP等で余すところ無く公開して行きますので、皆さんのご支援をお願いする次第です。

  これからが本当のスタート
Date: 2006-04-17 (Mon)
去る3月23日木曜日 山形にて
山形大学医学部附属病院脳神経外科教授 嘉山先生と懇談をさせていただきました。その折先生から 「総会でシンポジウム」をというお話をお聞きしました。そのことは
もう皆様も毎日新聞の記事4月11日付けをご覧になっておられるので既にご承知の通りです。脳神経外科学会総会(10月開催京都)

また先日4月12日
NHKの生活ほっとモーニングにコメンテイターで出演されました 日本医科大学脳神経外科助教授 喜多村先生にもお話をお聞きした。  「脳外科医では誰もがこの病態を勉強しなければいけない時期にきましたね」 という事でした。

本当に我々患者としても
総会で論議され 「科学的に病態解明」に「公的な予算」がつき研究に着手していただけるよう願うばかりです。

必死の必死の啓蒙活動が実を結び始めました
嘉山教授は 「患者が強く研究を望んでいると それに答えるのが医師の務めであります。 何もしないで批判ばかりしているよりしっかり研究をすることに意義がある」とおっしゃっておられました。素晴らしいと思いました。「あくまでも患者本位でありたい」とおっしゃってました。

「必死の心」「勇気の行動」は人から人に伝染するものなのですね、やはり行動が大事であります。

また、やはり国会での質疑 これが大きかった連携を取らさせていただいている渡辺参議院議員(脳外科医でもあられます)は山形選出の議員(嘉山教授とは東北大学の同門であられるとか)であります。改めて御礼を。

中井

  事実は事実
Date: 2006-01-29 (Sun)
事実は事実 01/29(Sun)

福岡地裁 津地裁 鳥取地裁 と交通事故が原因により髄液が漏れたという因果関係を認める
判例が 3件続けて でたこととなった。
いよいよ 「勝訴 因果関係を認める判例が出始める流れ」ができつつありそうであります。
先日 三重「津地裁で因果関係を認め和解となった、被害者側の弁護士 樋上先生に
お話を聞くことができました」
先生は「もう、この流れは定着するでしょう、今まで 泣き寝入りしていた多くの方が
救われることとなるでしょう。。。」と 詳細は「会報7」にて
 
本当に法曹界の弁護士の方々始め 交通事故関係を担当する行政書士の方々の努力が実を結びはじめました。
医学界脳脊髄液減少症を治療をされる医師の先生方々においても「講演会 勉強会が活発になりはじめております」
いよいよ「研究を!」ともいう声も聞かれるようになりつつあります。
 「真実が真実として、あたりまえのことがあたりまえとして、対応される時期にきました」
患者側の運動(署名運動など)各地域行政の運動(16都府県にまでひろまっている脳脊髄液減少症の研究を要望する意見書採択)法曹界の(3件の勝訴)医学界の働き
 
国がいよいよ本格的に対応するにいたる根拠(土台ができあがったといえると思います)
我々が提唱するNPO法人むち打ち症患者支援協会(メッセージ)
「脳脊髄液減少症」の普及による社会的影響と専門部会設置の必要性が今後更に
光を浴びるようになることでしょう。
 
また今回の記事にありますように整形外科学会側の脳脊髄液減少症の対応にも柔軟な対応と姿勢が必要となってきたのではないでしょうか。記事によると加害者側及び保険会社側にたった著名な整形外科医(脳脊髄液減少症の概念を全面否定している)が出した意見書には「3週間以内の治療で済む」という内容であった、しかし裁判官のだした判決は「意見書はことさらに傷害の程度を軽く見ようとしている、到底信用することができない」と一蹴した。記載されています。
難治性の「むち打ち症」の原因の一つが髄液漏れであることが判明すれば、どれだけ多くの人を救済できるかもしれません、まずは権威権力の上着を脱ぎ、「一人間」として異常と思われる画像を再度研究し、実際の治療現場を視察し、柔軟に意見交換を医師間でしていただければと思います。
それぞれの学会の垣根を越え、患者さま本意であっていただきたいものです。
 

ナカイ

  システムが大事か 人間が大事か?
Date: 2005-12-19 (Mon)
システムが大事か 人間が大事か? 

システムが大事か 人間が大事か?
いつもこの事で「悩み考えることが多い」 
多くの患者さまの粘り強い啓蒙活動のおかげで
脳脊髄液減少症の認知度は飛躍的に伸びていて、外傷後に髄液が漏れるという事実が広まっています。しかし一方でいまだ無理解の意見も多いようです。 
 
もう一度原点に返りたい、協会は「あくまでも この外傷により髄液がもれるという事実を広める団体であります」 「そこに髄液が慢性的に漏れている患者がいる、であれば、人道的にどう対応するのか?」
「診療報酬制度が定まっていないために治療ができない」という病院、「ただいまデーターを収集中ですとだけ答える団体」「RI検査をしたのだから針を刺した段階で漏れるのは当然RI検査のデーターには信憑性がない」という学者。
では多数箇所(針の刺した以外の場所から漏れている画像にはどういう見解をお持ちになるのでしょうか?)
 
ともあれ反対意見には多くの意見があるようです。
 
しかし現実的に 治療を行い改善や完治される方が増える一方であります。 今回の河北新報の記事より、患者さんたちは訴えています「今、この瞬間、現時点で辛さから開放したいと願っている、治してほしい」と
 
 むち打ち症(頚椎捻挫 頚椎症)の考えや、自賠責などのシステムは ここ何十年と変わっていない、便宜上だけで使用している何十年前の考えであるバレリュー症候群がいまだ重宝されている。 すべての現象、事物、人間、団体、分子、素粒子にいたってまでも 常に変化している、変化のないところに繁栄はないと超優良企業トヨタ自動車の前の社長は語っていたのを何かで読みました・ むち打ち症、特に難治性のむち打ち症の主原因の一つに脳脊髄液減少症が注目され始めた今、システムの変化が必要とされる「時」がきたのではないでしょうか。 システムを糧に個人を犠牲にまでして団体を守る。
最初はそれで通るかもしれない、しかし いずれはそのことに執着した所は衰えていくのではないでしょうか。
 
人間は誰もが根底から平和を望み、健康を望んでいる。
 
先般放送されたFUJI TVの 「特ダネ」の中で
厚生労働省疾病対策課の脳脊髄液減少症についての見解がでていました。 非常に前向きな意見だと思いました。
患者数の実態調査などは今までは我々小さなNPO団体が行ってきました。 下記の見解をみるに 実態調査、研究 是非 多くの国民のためであり 国として是非主導権を握り
我々NPOも協力するので行動していただければと思います。
 
最後に アメリカ公民権運動の指導者 マーチン・ルーサーキング博士の言葉「私達は行動する時はどんな場合でも手を携えなければならない」「団結すれば私達が願っているだけでなく、まさしく手にするに値するおびただしいものを獲得できる」

  近況報告  中井
Date: 2005-08-24 (Wed)
最近、電話での問い合わせがまた増えてきました。
いろいろな用件で和歌山事務所を留守にすることが、これからも多くなると思います。
今回も東京出張から帰ってみると、留守電には録音可能な件数である50件が入っていました。
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)の話題が、毎日のように新聞やメディアに取り上げられるようになってきた為でありましょうか。
久しぶりにインターネットで「脳脊髄液減少症」「低髄液圧症候群」と検索すると、この運動が開始されたころ10件も満たなかったものが、今は3万件近くヒットするようになってきました。
独自でホームページ(以下HP)を開設されている方も多くなってきたようです。
本当にうれしい限りです。
反面、電話相談の中で情報が混乱し、何を? どのHPを? 信じていいのかという話も増えております。
残念ながら、あるHPの掲示板では患者さん同士が論争を繰り返しています。そこには病気を克服するためには「どうすればいいか」という原点、方向性が見失われているように思います。「お互いの知識の張り合い。どちらの意見が正しいとかいう事ばかりにエネルギーを費やしているような気がする」と電話で話される方もいました。
「論議をするなら『原点』を忘れてもらいたくないものです。もっと冷静に現実を見てほしいと」と、その方は嘆いておられました。

「言論の自由」があるということは非常に重要であります。
あの福沢諭吉も自ら「時事新報」を創刊し、「開くべき口を開かず、発するべき議論を発せざる人民は専制政府に便利である」と論じています。
多いに議論は行うべきだと思います。
さながらその議論もインターネットが普及し「ハンドルネーム」を使い、自分の名前を明かすことなく意見や主張を掲示板に書き込める時代になった。言いにくい、または本名では聞き辛いことも聞けるという利点もあることは事実だが、危険性もはらんでいると思います。
個人情報がやかましくなった現在、考えも及ばない詐欺が横行し、オレオレ詐欺などは巧妙化し増える一方であります。本名などインターネットで公開しずらくなっているのも事実でありますが、日ごろでは言えないことなど、インターネットでは二面性の自分が生まれ虚像の世界を生み出す危険性があると訴える識者は多い。

そんな中、最近、新聞記事などを見ると、署名記事が増えています。「毎日新聞」の北村社長の記事を読んだことがあります。署名記事とは、記事の後にその記事を書いた記者の名前を載せるということであります。北村社長は「新聞も判断を間違えることはある、そのとき『何が』間違いで『どうして』間違っているのか誠実に説明する姿勢が重要です」と。
つまり、その記事に書いた本人に責任を負わすという意味ではないだろうか。
さらに社長は「インターネット上で膨大な量の情報が飛び交う中で、市民一人一人がそれに向き合い、どの情報が正しいかの判断を任されている。その中で新聞の担う役割はどの情報が重要でどの情報が間違っているかを評価し提示することである」と語っています。

朝日新聞8月11日社説に「ホリエモンの予言」という記事があった。
ホリエモンは巨大メディアの時代は記者の資質が重視されるが、
今後は違う「市民が情報を発信する時代になる」というのだ。これに対し、「市民からの発信が盛んになるのは悪くはない、しかし報道の専門集団のいない社会では、誰が情報を発掘し真偽を見分けるのだろう、判断のよりどころとする『羅針盤』がない、情報の海だけが広がる物語の結末は書いていないが、そんな社会はゴメンだ、なんとしても人々から信頼されるメディアを目指したい」と朝日新聞は締めくくっていました。

残念ながら、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)に関するHPに、
デマやでっちあげ中傷誹謗など、陰湿極まりないやり口で混乱させることだけを目的とするHPも存在するようだ。その矛先が当協会に向けられているHPもあります。

デマといえば「赤狩りで有名なマッカーシーズム」を思い出します。
第二次世界大戦後、米ソ両陣営の分断と対立は深刻化し、ソ連の核保有が明らかになると、アメリカ本土では共産主義者の排他的風潮が強まり、不安と敵意が増していきます。そこにデマを投げ込んだのは上院議員のジョセフ=マッカーシーであった
当時無名の彼は実績を作るために、1950年演説を行なった。
国務省内部に250人の共産党員がいて、その名簿は私が持っていると高々と演説を行った。
彼の思惑通り上院で審議されることになったのだが、嘘は一つ一つ暴かれ検証されていくにも関わらず、上院議員だから嘘はないだろうとマスメディアは垂れ流しにしてしまう。
やがてデマがデマを生み、押さえが利かなくなり政府、教育、ハリウッドまで迫害にあう者まで現れたのです。
じつに巧みに嘘がばれそうになれば、標的をさらりと変え、疑惑を作り出して人の目をたぶらかす。
実にマッカーシーのデマは5年にわたっていきます。その後、議会は遂に大多数で非難決議を可決します。
嘘はどこまでも嘘なのです。その後もマッカーシーは議員を辞職しなかったが、誰も相手にしなくなっていた。
酒に溺れ哀れな姿であった。
どの国にも存在する諺があります。A sound mind in a sound body 「健全な身体に健全な精神が宿る」 また、A sound body in a sound mind 「健全な精神には健全な身体が宿る」 
人のために必死の行動をおこせば、その心にはさわやかな風が吹き、必死さは次の人間に伝染していき、精神は充実とやる気が満々と満ちてくる。寝ている間も明日はどうしよう、こういうアイデアはどうだろうか?と考える。反面、陰険な行動や中傷誹謗ばかりおこない、表面では善人ぶる人間の心はどうであろうか。私は決して身体に良くないものと思います。なぜならそこには、現実世界への行動がないために、自ら作り出す虚像の世界に心身ともにエネルギーを費やして行くからであります。

皆、病気で苦しんでいます。この病気の解明が重要であります。
その為には「どうすれば」。現実の社会、この現実の中での行動。そして結果を出していくには「どうすれば」いいか?

われわれ協会はまだまだ未熟であります。失敗もするでしょう。しかし、現実社会での結果をもとめ、日々微力ですが各関係団体と協力しながら頑張っております。
これからも設立された時の初心を忘れずに、活動を続けてまいりたい。

  寄付のお願い
Date: 2004-11-13 (Sat)

ホームページをご覧の皆様にNPO法人 鞭打ち症患者支援協会へ寄付のお願いをさせていただきます。

各都道府県の行政への働きかけが活発となり「脳脊髄液減少症」啓蒙運動もかなり
浸透してまいりました。ある面、現在もっとも重要な時期に差しかかっていると思われます。
しかし、当協会の財政は厳しい状況が尚も続いており、資金繰りに困難を要しております。
現在、行政や国による援助(助成金)は厳しい情勢です。

ご存知のように協会の収入源は本の販売や病院紹介にかかわるカンパ金、会費、寄付金から成り立っております。
平成16年度の月平均の入金が40万円。この40万円の中から交通費(月平均2万5千円)、 
光熱費(同6万円[含む家賃])、通信費(同3万円)、郵送費(同1万5千円)、冊子関連費(同7万)、その他諸費用(同3万円)、給与(2名)を捻出しております。毎月の平均出金額もやはり40万円となっております。
 
現在3事業所で業務展開中ですが、2事業所については自己負担の割合が高く、今後の協会運営の見直しが、年度明けの定期総会で必要と考えております。
しかし、冒頭でも申し上げましたように現段階でこの3事業所は、この運動における重要かつ必要な事業所と考えております。
そこでHPをみていただいている皆様に事務所運営のための任意での寄付をお願いする次第です。

現在協会事務での主な作業は下記の通りです。
・電話、メールでの相談
・ 各都道府県の患者会の皆様と協力した署名のバックアップや行政との交渉
・情報発信(協力病院と連携) 
・非公開病院への患者さんの紹介の調整 
・会報制作

寄付いただいた方には協会の本年度の入出金の一覧をお送りします。


○企業や団体、行政からの寄付も募らせていただきます。
当協会の運動の趣旨に賛同してくださる企業や団体、行政の皆様よろしくお願いします。
当協会ホームページは1日300件以上のアクセスがあります。
ご希望により次のことをさせていただきます。
  当協会ホームページにリンクを張らせていただく。
当協会ホームページにロゴマークを掲載します。
  当協会発行の会報にロゴを掲載します。(発行部数1000部)
  当協会が実施できる事項で御要請があればご相談の上、御協力させていただき
  ます。
  また、会報を差し上げます。
 
現金書留:〒641-8691 和歌山南郵便局私書箱14号
 鞭打ち(むち打ち)症患者支援協会事務局 中井宏宛

郵便振替口座 口座番号 00950-9-181981
 口座名称 特定非営利活動法人 鞭打ち症患者支援協会

UFJ銀行 和歌山支店 普通口座4603338
口座名称 特定非営利活動法人 鞭打ち症患者支援協会


※銀行振り込みの場合、住所が記入できないために領収書が発行できません。
領収書が入用な方は、事前に当協会にメールもしくは電話でご一報ください。

鞭打ち症患者支援協会
代表理事  中井 宏





  線維筋痛症について。
Date: 2004-11-12 (Fri)
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)が線維筋痛症に対し密接に関与していることが以前から言われていたが、線維筋痛症の治療・リハビリ、研究を行っておられる「広島県立身体障害者リハビリテーションセンター、リハビリテーション科の戸田克広・丸石正治両先生」が「広島医学 vol.57 NO.9 P707-712 2004」に、線維筋痛症と脳脊髄液減少症との関連性を指摘されているので、ここに紹介します。ページに全文を紹介するには、無理がありますので、この疾患の特異性と鞭打ち症(外傷性頸部症候群)との類似性等につき記述がある箇所を抜粋し掲載させていただきます。
私、個人的には脳脊髄液減少症と線維筋痛症が置かれている社会的立場、状況、及び医学界での認識、経過等が酷似しており、本論文は全ての点で私どもの今後の運動の方向性を示唆しているものと賞賛したい気持ちであります。
尚、本論文の掲載につきましては、戸田・丸石両先生及び本論文の版権元である「広島医学」殿には、御了承をいただき掲載しております。衷心より御礼申しあげます。

y-nagano
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「広島医学57巻第9号(2004年9月)」
        -総 説-
  線維筋痛症(fibromyalgia)

『抜粋』

-はじめに-

線維筋痛症は圧痛以外の他覚所見がないにもかかわらず、全身に疼痛を来す疾患である。典型的な症状を持つ患者は四肢・項部・腰の疼痛・しびれ・こわばりに苦しむ。有病率が関節リウマチのそれの数倍ということもあり、日本を除く先進国の多くでは広く認知されている。中国・インド・韓国からも少なくない英語論文が発表されている。アメリカ合衆国では、「こんな症状、あんな症状、それは線維筋痛症です。我が病院においで下さい。」というテレビコマーシャルが一般家庭に流れている。そのため、一般の人々も常識として病名と症状の概要は知っている。一方、日本では病気そのものが医師にさえほとんど知られていない。患者はこの疾患そのものに苦しむと共に、自分の苦しみを誰にもわかってもらえない孤独に苦しんでいる。

-合併症-

線維筋痛症に罹病している患者は健常者よりも慢性疲労症候群・慢性頭痛・月経困難症・過敏性腸症候群・むずむず脚症候群・化学物質過敏症・顎関節症・内分泌異常を罹患しやすい。特に慢性疲労症候群とは、密接な関係があり、線維筋痛症患者の50%が慢性疲労症候群に罹病し、逆に慢性疲労症候群患者の50%が線維筋痛症に罹患しているという報告さえある。
そのため線維筋痛症と慢性疲労症候群は、同一疾患であるという説がある。更に言うと、一人の患者が前述の疾患を罹患していることがあり、central sensitivity syndromes (css)という概念が提唱されている。cssは偏頭痛・過敏性腸症候群・緊張性頭痛・線維筋痛症などを包括する概念である。

-検査所見-

血沈やCRPを含む血液検査には異常がない。レントゲン、CT、MRIなどの画像検査にも異常がない。疼痛は元来眼に見えないが線維筋痛症には圧痛以外の客観的所見がない。たとえ、血液検査や画像検査に異常があっても、線維筋痛症の診断基準を満たしていれば線維筋痛症と診断される。

-原因-

ウイルス感染説、不眠説、食物アレルギー説、化学物質過敏説、内分泌異常説、自律神経異常説、下行性疼痛抑制系の機能不全説など多くの説があるが原因不明である。線維筋痛症患者で見つかった異常が原因であるのか結果であるのかがわからないことがその一因である。

-疫学-

一般人の2〜4%、外来患者の5%以上が線維筋痛症と推測されている。女性が8割から9割を占める。線維筋痛症患者の家族は線維筋痛症に罹病しやすいと報告されている。

-外傷後線維筋痛症・・・外傷性頸部症候群-

外傷後に生じた線維筋痛症のうち約60%は交通事故が原因であるという報告がある。頚椎捻挫後に頚部のみならず全身の疼痛を訴える患者がいる。全てではないがその原因の一部が線維筋痛症である。米国では、頚椎外傷を受けた患者の線維筋痛症の発病率は21.6%、一方、下肢の骨折患者における線維筋痛症の発病率は1.7%であり、頚椎外傷は下肢骨折の13倍の発病率を示す。日本では交通事故後に線維筋痛症を発病した患者は前述の苦悩に加え賠償神経症という陰口にも傷つけられることになる。線維筋痛症の概念が普及すれば保険会社の対応が変わると推測している。
頚椎捻挫後の不定愁訴の原因として脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)という概念が言われ始めている。交通事故などの外傷後に発生した線維筋痛症患者の一部は脳脊髄液減少症を合併している。造影MRIなどで脳脊髄液減少症を否定することが望ましいと考えている。

-問題点-

有病率が非常に高いにも関わらず、日本では本疾患の存在そのものがほとんど知られていない。前述したように初期には重労働や激しいスポーツを行うことができたり、仕事ができる日とできない日があったりする。しかも圧痛以外の他覚症状がなく、血液検査や画像検査でも異常がない。圧痛は他覚所見とみなされているが、自覚所見に極めて近い他覚所見であることが日本における現状の一因と思われる。多くの場合「うつ病」「心因性疼痛」「自律神経失調症」「異常なし」「気合が足りない」「気のせい」など医師から言われてしまう。疼痛のため1ヶ月のうち2,3日仕事ができないだけで責任のある仕事からはずされてしまう。同僚や家族からは「怠け者」としばしば見なされる。失業や離婚は珍しくなく、未婚時に発病するとしばしば結婚ができない。重症者では収入がほとんどあるいはまったくなくなるため生活保護を受ける者もいる。精神病院に入院させられることもある。肉体的・経済的に追い込まれ、それに自分の疼痛をわかってもらえない孤独感が加わる。医師を含む医療従事者の不適切な対応が患者を苦しめ、不適切な対応そのものがPTSD(心的外傷後ストレス障害)の原因になっていると考えざるを得ないこともある。このような状況のため、線維筋痛症が原因で自殺する患者さんがいると推測している。圧痛以外の他覚所見のない疾患の場合しばしば詐病とみなされたり、疾患そのものを疑う医師もいる。線維筋痛症には圧痛以外の他覚所見がないから疾患の存在を疑わしいというのであれば、通常他覚所見のない幻肢痛・舌痛症・三叉神経痛(三叉神経に圧迫がある者のうち症状がある者はわずかである。三叉神経に圧迫のない患者もいる。)という疾患の存在が否定されてしまう。線維筋痛症と診断されなくても、幸運にも適切な治療を受けている患者もいる。原因は分からないが患者が痛がっていることは事実であるので線維筋痛症と診断をつけることができなくても、ノイロトロピンや鎮痛補助剤を投与している医師もいる。われわれも診断がつかないが原因不明の疼痛を訴える患者を治療している。もちろんその中には真の疼痛性障害を訴える患者がいるかもしれない。疼痛を訴える患者に圧痛以外の他覚所見がなく明確な診断がつかない場合でも、ノトロトピンや鎮痛補助剤で治療することが望ましいと考えている。

-結び-

インターネットを利用するとさらに詳しい情報を得ることができる。患者さんにもインターネットで線維筋痛症のことを勉強するように言っている(http://fibro.jp)。診療時間の短縮と共に、われわれの診断や治療が間違っていないことを患者さんに示す効果があると考えている。現状では患者団体が医師に対して本疾患の啓蒙を行っている。線維筋痛症が癌や痛風のように医学部の授業で教えられるようになり、この啓蒙活動の必要がなくなることを願っている。関連する疾患とともに線維筋痛症の概念が普及すれば、前述した交通事故の補償のみならず、労働災害後の補償や身体障害者の認定などが大きな影響を受けることは必至である。それにより疼痛に苦しむ患者さんが少なくとも経済的に救済されることを願っている。


  国会議事録 公開 と新潟の皆様に
Date: 2004-10-28 (Thu)
過去国会で低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)関連につき質問された内容を国会議事録検索システムより
検索し公開しました。
 
←メニュバー 最下位部「行政との協力」をクリックしてください
 
新潟県の方がたに協会員一同こころよりお見舞い申しあげます。 一日も早い支援策対応策を国に要望します。

http://www.npo-aswp.org/gyosei.htm


  ついに世界が認めた 09/29(Wed)
Date: 2004-09-29 (Wed)

Quantitative analysis of radioisotope cisternography in the diagnosis of intracranial hypotension
Eiji Moriyama, Tomoyuki Ogawa, Ayumi Nishida, Shinichi Ishikawa, and Hirochi Beck
 
ジャーナル オブ ニューロサージャー(JNS)9月号http://www.thejns-net.org/jns/issues/current/toc.html
 
に守山DR(国立病院機構福山医療センター脳神経外科)の論文が記載される・
守山DRから7月後半にJNSに記載されることが決定したとご報告があったが JNSホームページが今日正式に9月号がアップされたために発表させていただきました。
 
ではJNSとは 
・脳神経外科では世界で最も権威のある医学誌で米国の発行誌です。
・全世界の脳神経外科が毎月読んでいるといってよいでしょう
・脳外科医として一度はこの医学誌にファーストネームで論文がのることが大きな脳外科医として目標だそうです。
 
・会報3で篠永DRがおっしゃった普及には権威ある医学誌に
この病気のことが記載されることが重要であると答えられたが これはその権威に相当する
 
・文の論文ですので一般向けに日本語で簡単に会報4向けに
原稿をいただいております会報4は10月後半から11月に発行予定です
 
論文中50人(ニュースステーション後に協会からの紹介患者が殆ど)の方のRI検査結果が記録になってでている
この50人は「DRショッピングにあけくれ原因のわからなかった患者だ」 50%以上の方が髄液がもれているという科学的調査がされ証明されている(放射線ガンマ線をカウント) 50人の方は殆どが外傷後(交通事故)に症状をうったえている。 外傷特に交通事故による髄液漏れと低髄液圧症候群とを関連させた医学論文は世界で初という。すでに
米国本土などから守山DRに問い合わせがきていると聞いています。 内外影響が今後でるだろう。
 
ただしJNSに論文がでたと言ってもすぐに日本で治療や検査がうけられるとは限りません。
あくまでもDRがみとめても感心があるかないか、保険の問題
もあります 今後の啓蒙が必要です。さらに整形外科のDRは
JNSを読んでおりません 整形外科への啓蒙が重要です
あとやはり署名することは実は啓蒙の意味もあるのです。
ぜひ皆さんの都道府県でも啓蒙をお願いします

http://www.thejns-net.org/jns/issues/current/toc.html


  群馬県に受け入れ病院ができた
Date: 2004-09-17 (Fri)
群馬県に受け入れ病院ができました
詳細は
病院リストで
←  診察希望の方へ  を

  近日中に協会員専用掲示板ができる
Date: 2004-09-03 (Fri)
○協会員専用掲示板(PC&携帯兼用)(画像投稿可)
  正会員 賛助会員 が参加し交流を深める 掲示板です。 
  WINDOWS/MAC/i-mode/vodafone/au 同期動作確認済み!!

  ※現在協会参加のDRにも参加をお願いしている段階です

http://www.naxnet.or.jp/~sginakai/cgi-bin/login.cgi


  携帯用最新情報アドレス
Date: 2004-08-29 (Sun)
http://www.naxnet.or.jp/~sginakai/handy/index.cgi

http://www.naxnet.or.jp/~sginakai/handy/index.cgi


  医学会ー患者ー行政のコラボレーション
Date: 2004-08-12 (Thu)
医学会ー患者ー行政のコラボレーション 

会報3が好評だ! 特に医師からの注文も多い。最近では
歯科医師からの注文が目立ってきているようだ。
会報3に寄稿くださった日本歯科大学付属病院丸茂助教授の影響だろうか。
 
今回会報3の中で篠永DRや多くのDRが述べている、それは「外傷による髄液漏れが発生しむち打ち症になるという事実を」以前から気づいていたDRも少なからずおられたのではというコラム。
 
となるとどうして普及しなかったのだろうか。
さまざまな社会的問題が背景にあるようだ。しかし現在、世界的にも外傷による「髄液もれ」が認識されはじめている、医学会−患者-行政が連携をはかりコラボレーションすることにより病態解明と早期治療促進が結果的に社会にベネフィット(利益)として帰ってくることを確信していかねばならないのではないだろうか。連携を図ってくださっている医師の方々は髄液漏れを科学的見地からデーターをとり誰が見ても納得できるデーターでこの疾患の証明をするために奮闘くださっています。本当にありがたいことです。
 
今回9月12日の脳脊髄液減少症研究会(東京開催)には150名近い医療従事者が参加できる、お近くのDRに参加を呼びかけてはどうだろうか?
 
車社会は日本だけではない。いよいよ髄液漏れの認識は
世界レベルになる時期に入った。 外傷後の髄液漏れのデーターは群を抜いて日本のDRが握っている。世界のリーダー的な役割を果たしていただきたく思います。その後押しを行政に託したい。
 
スタッフ一同

  脳脊髄液減少症研究会オフィシャルHP
Date: 2004-08-03 (Tue)
脳脊髄液減少症研究会オフィシャルHPが開設された。
協会とも連携をはかっていくことになりました。
詳細はHPをご覧下さい。

http://www.geocities.jp/csfhypovolemia


  医師からの問い合わせが急増
Date: 2004-07-29 (Thu)
各専門医(脳外科 、麻酔科 、整形外科等)の医師からの
問い合わせが増えています。専門的な質問についてはそれぞれ、協会参加の医師に連携をとりできるかぎりの応答はさせていただいております。 

また会報3が好評です とくに医師に ありがたいことです。

staff@npo-aswp.org

  会報3 販売開始
Date: 2004-07-17 (Sat)
発送開始は週明け 20日からですが 注文はネット上で開始します。

http://www.naxnet.or.jp/~sginakai/shop/eyshop.cgi


  東京に協力病院が!
Date: 2004-07-16 (Fri)
本日、東京に新たな協力病院ができました。
「待望の」という言葉がピッタリ!
お会いした医師は、すごく優しい方でした!
この病気を治療してくださる医師の方々は、
本当に優しい方ばかりです。
ありがとうございます!

http://www.npo-aswp.org/list.html


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