【監修】 篠永 正道 先生(国際医療福祉大学 熱海病院 脳神経外科)

脳脊髄液減少症ガイドライン2007

脳脊髄液減少症ガイドライン2007の27ページ「治療の項目」より引用。


  ・ 保存的治療: 急性期はもとより慢性期でも一度は保存的治療を行うべきである。
    治療例:約2週間の安静臥床と十分な水分摂取(補液または追加摂取1000〜2000ml/日)
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上記ガイドラインの保存的治療時のみでなく、脳脊髄液減少症患者にとって水分補給を日常的に行うことは、たいへんに重要であると言われています。

協会の事務局には、多くの電話相談がありますが、水分補給方法については特に様々な質問があります。


【患者さんの声】
    

 担当医からも「できるかぎり水分をとってください。できれば一日2Lの水分を」と言われます。 
   

  • 医師から2Lの水分補給を取ってと言われたんですけど、とてもとても続けられなくって、良い方法はご存知ないですか?
  • 水分補給って、お茶でも、お白湯でも何でも良いのですか?
          お勧めの水分補給方法はありませんか?
  • 点滴に行きたいのですが、近所の病院では 中々点滴をしてもらえません、何か手軽にできる点滴の変わりになるようなものはありますか?
          等々

    このような状況を鑑みた場合、 脳脊髄液減少症患者の皆様にとっての水分補給について次のようにまとめてみました。

  1. Q1 脱水とは? 脳脊髄液減少症と脱水とは関係あるのですか?
  2. Q2 脳脊髄液減少症の治療に関する公的なガイドラインはありませんが、脳脊髄液減少症研究会が作成したガイドライン2007があります。そこには、保存的治療として「急性期はもとより慢性期でも一度は保存的治療を行うべきである。
    治療例:約2週間の安静臥床と十分な水分摂取(補液または追加摂取1000〜2000mL/日)」と記載されています。十分な水分摂取としてORSは適しているのでしょうか?

  3. Q3 脳脊髄液減少症患者にORSが効果があるという科学的根拠はありますか?


Q1
脱水とは? 脳脊髄液減少症と脱水とは関係あるのですか?

A1 人間の身体は多くの水分で成り立っています。 成人男性で体重の60%、女性で55%が水分となります。 この5%の違いは筋肉量の違いです。筋肉は水分の保管庫となります。赤ちゃんは80%、幼児は70%前後となります。

体重の60%を占める水分の内訳ですが 40%が細胞内液、20%が細胞外液として存在しています。細胞外液の20%のうち、15%は細胞間液(脳脊髄液)、残り5%は血液中の水分となります。脱水となる場合、最初は血液中の水分が減少します。

脳脊髄液減少症の患者様の場合、脱水によって様々な症状が増悪されると言われていますので脳脊髄液減少症と脱水は密接な関係があると言われています。


Q2 脳脊髄液減少症の治療に関する公的なガイドラインはありませんが、脳脊髄液減少症研究会が作成したガイドライン2007があります。そこには、保存的治療として「急性期はもとより慢性期でも一度は保存的治療を行うべきである。
治療例:約2週間の安静臥床と十分な水分摂取(補液または追加摂取1000〜2000mL/日)」と記載されています。十分な水分摂取としてORSは適しているのでしょうか?

A2 脳脊髄液減少症の保存的治療としてORSが適しているかどうかについてはわかりません。しかし、水・お茶・ソフトドリンクなどで水分補給をしていると、体液が薄まってしまい、十分な補給効果が得られない場合があります。保存的治療の目的が脱水状態の改善ということであれば、ORSをガイドラインに沿って適切に補充することは効果的であると考えます。また、ORSは水・電解質を点滴する場合とは異なり、安全かつ簡便に補給できるという利点があります。


Q3 脳脊髄液減少症患者にORSが効果があるという科学的根拠はありますか?

A3 脳脊髄液減少症に対するORSの効果を調べた文献は今のところありません。髄液の漏れが発生し脳内の静脈が拡張し血流が悪くなり、様々な症状が発生すると言われているのが脳脊髄液減少症です。 脳内の脈絡叢(みゃくらくそう)で髄液が産生されると言われており、体水分が不足しないよう、水分を常に補充することや、水分が不足した場合には点滴することにより髄液量が維持されるのではと言われております。
そういった意味では、吸収速度が速く、至適な量の電解質と糖を含んでいるORSを適切に用いることは重要であると推察されます。ただし、実際の飲用方法、飲用量などについてははっきりしていません。

脳脊髄液減少症の患者さまの場合 健常者より脱水による症状が出やすく、体重の2%又は1.5%でも症状が出てしまうのかもしれません。
本当にそうなのかは、今後の研究課題です。